【2015.12.3】研修レポート(2015.5.25)
政務活動費を使って参加した研修や視察のレポートは、必ず議長あてに提出しています。
他の自治体議会では、議会HPでレポート(報告書)を公開しているところもありますが、吹田市議会では、現在のところ公開していません。
とはいえ、市民の皆様に公開するのが、議員としての責任だと思いますので、遅くなりましたがこの後、連続してアップさせていただきます。
まずは、東京で開催されました研修会に参加したレポートです。
1.日時 2015年5月22日(金)
2.場所 衆議院第1議員会館 第2会議室(東京都千代田区)
3.視察・研修
第18回 地方×国政策研究会
4.スケジュール
第1部 新人議員に向けて「議会は民主主義に不可欠の機関」
富野暉一郎(元逗子市長)、上原公子(元国立市長)、福嶋浩彦(元我孫子市長)
第2部 「これからの介護保険を議論するポイント」 鏡諭(淑徳大学コミュニティ政策学部)
「医療・介護総合確保法」厚生労働省職員の説明と質疑
「公立病院改革新ガイドライン」総務省職員の説明と質疑
5.内容
第1部
問題提起
議会はいらないのではないか?という問いに議員が答えられていないのではないか?
議会基本条例があってないものになっていないか?
議会運営改革条例ではないか?と思うようなものを議会基本条例としているところも多いのではないか?
議員力が不足しているのではないか?
改めて議会とはどういうものか、議員とはどういうものかを考える必要がある
第2部 2015年介護保険改正と新しい総合事業の課題
1)はじめに
介護保険は自治事務である。
法定受託事務ではない。(限定列挙なので、それ以外は自治事務である)
しかし、介護保険は国がやっている制度と思っている人が多いが、保険者は自治体である。
介護保険は、日本で5番目の社会保険である。
鰥寡孤独(聖徳太子が福祉とはこういうものだということを示した言葉)
妻を失った男、夫を失った女、親のない子、老いて子のない人。
寄る辺ない身の上の人を対象とするのが福祉
福祉は、問題のある人のためのものである。
一方、社会保険は、保険料を払っておき、将来起こりえるリスクに対処するものである。どのような人を対象にするかについては、理由はいらない。
たとえば、介護保険であれば、家族状況とかには関係なく、 要介護度に該当すれば受けられるものである。
介護保険は、スタート時は3。6兆円だったのが、今は10兆円に近づいている。
半分は保険料でまかない、それ以外は税。
第6期の保険料5514円は第5期の1割増。どんどん増えていく。
市町村で安心して生活できるためにはどうするかをみんなで話し合って、その安心を手に入れるために保険料はどうあるべきかを決めるのが本来であるが、国は税負担額が増えてきたので、できるだけ利用率を上げないようにしたいと思っている。
2)地域包括ケアシステムの構築/医療と介護の連携
地域包括ケアシステム 中身はほとんどない。
なぜなら医療に関する権限は市町村にはない。都道府県の権限である。
保健所を持っている中核市以上であれば、医療情報は市が持っているが、そうでないところは、医師会と協力して進めないことには難しい。
在宅医療は病院で患者を診るより非効率であるため、在宅医療ではネットワークが必要だが、医師はネットワークを作るのは不得手である。
だから、熱心なお医者さんは在宅医療をしているが、施設中心の医療が多い。
給付の縮減のために、国は重点化・効率化を考え、全部外すということを最初に厚生労働省が提案したが、自治体から反対があり、新しい総合事業となった。
3)新たな総合事業におけるサービスの類型
新しい総合事業
保険給付から、総合事業になっていく
地域支援になると、自治体が作った事業を利用することになり、介護保険の時にもっていた、保険料を支払っているからサービスを受ける権利があるという、権利性がなくなる。
これまでは、保険料の負担に対する権利としてサービスを使っていた。
したがって、総合事業は、保険としてはおかしいが、なぜか国会をとおってしまっている。保険制度ではない事業を利用し、保険制度から出す。
つまり、総合事業は福祉事業に当たるのではないか。
地域支援は3%しかないので、予算審議であまり出ててこない。
マイナスシーリングもかからないので、財政総務も削減を言ってこない。
財政当局からきついチェックが入らない。
給付の代替えとして使うので、国がガイドラインを出している。
介護保険サービスを現に受けている人が総合支援事業になるのだから、減のサービスを受けている人の合意が必要だが、今の事業が立ち行かないような報酬改定をして、各自治体で新しい総合事業に移行してくださいと厚生労働省は言っている。
報酬は2割下がってしまっているから、しかたなく総合事業に移行する。
下がった報酬額を限度として作る
原則は今までの給付と同じ程度のものを保証して、しかし、報酬額が2割下がっているから、本当にボランティアが中心になってできるか、わからない。
もともと福祉の制度の中であればわかるが、保険制度の中にボランティアがはいるというのはおかしい。
4)市町村を中心とした生活支援・介護予防サービスの充実
国が筋の悪い改正をしたとしても、市町村は市民にそのまま押し付けるわけにいかない。理不尽であっても、市町村は直接地域を人を支える責任がある。
新しく取り組むことになった新しい総合事業は、介護保険だけの制度ではなく、地域社会で高齢者が安心して暮らすための、コミュニティの実現による。
厚生労働省、総務省の説明は、時間も少なく、レジュメの中身の説明のみであった。
6.感想・考察
第一部の議会、議員に関する講演は、議会基本条例を作ればいいや、ではなく、その中身が大事であることはこれまでも言われていたことである。
なぜ中身が大事であるのか、という点について、ちょうど今、憲法改正論が国会等で取り上げられているが、「憲法は、国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)について国民が定めた決まり(最高法規)です。」という論理と同じであると理解しました。
つまり、市民の権利を守るために議会がやるべきことを定めるのが議会基本条例であり、議会の運営方法だけ書いたような議会基本条例は必要ない、意味がないということだと理解しました。
吹田市議会では、まだ議会基本条例の制定について議論はされていませんが、このことは、しっかり押さえておきたいと思います。
第二部の介護保険については、介護保険サービスを利用する高齢者が年々増え、介護保険料を負担する年代の人口が減っている中で、介護保険料を上げずにサービスの質を落とさないために、総合事業が考えられたこと、保険制度ではなく福祉事業に当たると考えたほうが理解が進むこと、など学びました。
吹田市でも今、担当部署で検討が進められているようですが、少ないパイでたくさんの人が潤う、そんな仕組みはないわけですから、無償有償を問わず、ボランティアやNPO、また高齢者同士で支えあうサービス、コミュニティがなければ、立ち行かないということを、踏まえて、では、自治体としてどう進めていくのか、議会でも上滑りではない議論をしなければならないと思いました。
以上